5月20日、僕がクラリネットを習っている藤井洋子先生の「門下生」による恒例の発表会が終わった。
これまではこの発表会は1月に行われていたが、今年は諸事情によってこの日になった。そのため、いつもより参加者が少なく17名になってしまった。
前日の予報では朝から雨とのこと。Fさんはジャズを演奏するという。そうするとピアノの伴奏が無理とのことで伴奏用にオーディオセットを持ってくるといっている。雨だとどうするのか気にかかる。といっても僕はなんの手伝いも出来ない。
でも今朝の天候は晴れ。ホッとする。
「腹が減っては戦は出来ぬ」と僕は11時半に吉祥寺について昼飯を食う。ジャージャー麺、それに景気付けにビールも。そういえば以前発表会の前にワインを飲んで失敗したことがあったことを、このBLOGを書いてて思い出した。
会場はイタリア料理のお店「ラ・フォルテ・カフェ」の地下。ここは例年お願いしているところ。集合時間の15分前についたら、すでに10人あまりが来ていた。僕が1番かなと思っていたのに・・・。
12時半過ぎに発表会は始まった。くだんのFさんの進行。その挨拶に中でなんの前触れもなく「今日の進行は私と林さんで行います。」と宣言。僕は全く知らないけど「まあいいか」と覚悟を決める(覚悟というほどでもないが)。
ピアノは例年どおり杉本先生。水曜日に伴奏合わせをしたばかり。「ソルベーグの歌」から始まる。「なるほど」と思うが何が「なるほど」なのかは分からない。
演奏が始まる。Fさんの進行に従って。藤井先生は黙って聞いている。その横顔には不安と安堵がないまぜになっているように見える。僕は「ここにいるのは身内なんだから先生はのんびり聞いていればいいのに」なんて勝手に思う。
Nさんの演奏が始まる。「嘆きのセレナーデ」。何でこの人が「嘆き」なのか分からないが、演奏は始まる。Nさんとは「発表会が終わったら、たっぷりと酒を飲もう」とメールで約束している。
Uさんのドボルザーク「スラブ舞曲」が始まる。この曲はレッスンでも聞いているし、僕は好きな曲だ。楽しみ。地平線が見えるような音楽だ。もう少し勇壮に、というか雄大にあるいはおおらかに演奏したほうがいいかな、と思う。僕は行ったことはないが満州の壮大な地形をイメージしたい。でも難しい。
この曲だけではないがピアノの伴奏が入ると曲が生きてくる。不思議なものだ。
続いてNさん、シューマンの「幻想小曲集 第2楽章」。レッスンの時はクラリネットだけなので、聞いていても「難しそうだな」という事は分かるが、今日改めてピアノ伴奏付きで聞くと実に豊かな曲だ。ピアノがクラリネットの主旋律を追っかけてくる。レッスンの時よりはるかに上手い。
さて、いよいよ僕の番だ。曲はシュターミッツの「コンチェルト第三楽章」。これは昨年の演奏会でこのコンチェルトの第二楽章を演奏したので、今年も引き続き同じコンチェルトに挑戦。
先日のピアノ合わせの時に上手くいったので本番では間違うはずがない、と確信してステージに立つ。
しかしこの「確信」がなんの根拠もない事が演奏が始まってすぐに分かる。「この前よりいくぶん早いぞ」「何とか本来のペースに戻さなくては、細かい音符のとこでつまずくぞ」「あっ、眼鏡を代えるのを忘れた。途中見えなくなる」そんなことが頭をよぎる。よぎった瞬間、その細かいところに来た。指は動くのだが音が出ない。譜面もぼやける。「暗譜すればよかった」今更そんなことを思ってもどうしようもない。「うっ。どうした!」
ともかく演奏は終わった。「今年もまた失敗してしまった。一生懸命指導してくれた藤井先生に申し訳ない」うなだれて席に戻る。
そしてここで休憩。第一部が終わる。
いよいよ第二部は僕が進行役だ。さっきのショック(といっても毎年なので慣れているが)の尾を引きつつ再開する。このあたりから演奏者は上級者になる。もちろん、僕は足下にも及ばない。練習しなくちゃ。
最初はHさんによるフィンジの「コンチェルト第一楽章」。この曲もレッスンの時に聴いているが、よく分からない。やはりピアノ伴奏がつくとイメージが膨らむ。難しそうだ。僕には吹けない。物静かな、そして時々荒々しくなる。ところで「フィンジという作曲家はどんな人なのだろう」と考える。きっとネクラではないかな。
続いてOさんも同じフィンジの「コンチェルト」。だが彼女は「第二楽章」。これも難しい曲だ。よく演奏が出来ると思うし、やる気になると思う。しかも間違えない。まあ、初めて聞く曲だから、間違ってても僕には分からない。イメージもわかない。しかし本当に上手い。僕らが束になってかかっても追いつかない。
演奏は進む。思っていたより速いペースだ。15時半から「食事会」だけど、その前に終わりそうだ。
Tさんはロッシーニ作曲「序曲、テーマと変奏」。この頃になると僕の「ショック」は消えている。Tさんの演奏はOさんと同じで安心して聞ける。しかし、何でこんなに難しい曲を選ぶのだろうか。そしてよく演奏できると感心する。ちょっと音がかすれる。
昨年もあったなあ、と思い出す。きれいな曲だ。聞いてて楽しい。
さて、いよいよFさんだ。カーペンターズ「TOP of The World」。ピアノの杉本先生はやっとお休み。Fさんはバックの演奏をパソコンで創ったという。素晴らしい。でも大変だっただろうとつくずく思う。やっぱりJAZZはいい。
僕は譜面通り演奏するのでなく、途中の、たとえばサビ(JAZZにサビがあるとは思えないが)の部分の8小節ぐらい自分で作曲して演奏したほうが、もっと迫力が出ると思う。なんでかというと、基本的にJAZZは自己主張の音楽だと思うからだ。だから「他人の言葉=音楽」だけでなくコード進行に沿った自分の音、リズム、メロディーを入れた方がいいと思う。たとえそれが譜面より悪いとしてもその方がJAZZは力強く、人に訴えられるのではないだろうか。また、聞いた人に感動を与えられると思う。これは僕がJAZZを演奏する時にも当てはまるし、肝に銘じたい。
でも上手い人と下手な人の大きな違いは「音」だと思った。うまいひとの「音」はしっかりしている。下手な人ほど「音」に力がないし、弱々しい。自信がないのだろう、僕もそうだ。
なんて偉そうな事を思っているうちにソロの最後は藤井先生の演奏。磯部周平さんの「練習曲エレジー」。この演奏について僕は何も言わない。
さて、だいぶ早く終わってしまった。15時半はまだ先だ。
新人2人による演奏。「エデンの東」。僕も新人のころ吹いた曲だ。映画も見た。
最後はアンサンブル。ボロディンの「ダッタン人の踊り」。僕は4番パートでベースを担当。リズムが難しい。
藤井先生の指揮棒が降り下ろされた。後はご想像にお任せする。
やっと終わった。食事会。今演奏した曲の録音を聞きながら、だ。そして、音を止めて自己紹介。料理はもちろんイタリアン。うまい!
この後僕たちは鯨飲したのは想像に難くない。
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